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旅するように暮らそう!

そして、生活するように旅をしよう!起業家、岩佐大輝の記録。

GRA、インドもイチゴ!?(2)

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GRA、インドもイチゴ!?(1)

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GRA、インドもイチゴ!?(2)

それにしても、インドはいつ行ってもびっくりすることばかりで、高速道路をゾウさんが逆走してきたりとか普通だ。田舎も好きだけど個人的にはデリーやムンバイそしてコルカタの雑踏が好き。インドの魅力は多様性にあり。ほんといろんな人がいる。蛇つかいのおじさんとか、特に味わい深い。


さてイチゴの話。インドのイチゴは露地栽培がメイン。南インドでは、11月に定植し5月位までに出荷のピークを迎える。品種はほとんどがカリフォルニア品種。最近ではイタリア品種も多い。


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農村のおばちゃんたち(2013.03.21岩佐撮影)


イチゴは仕事のほとんどがどうしても手作業。インドの農村労働者のほとんどはおばちゃん。朝から夜遅くまでほとんど休むことなく、日本のようにきびきび作業してパッと切り上げるという概念はなく、とにかくゆったりだらーっと作業が続く。話すこともしない。本当にご苦労様なことだ。この人たちの収入は驚くほど低い。一日数ドル。イチゴの末端価格から逆算すると、どっかで誰かががっぽり儲けているか、生産から小売りまでの歩留まりが低いかどっちかだ。答えはその両方。


コスト構造をイチゴ農園のオーナーに聞いてみると、人件費25%、種苗費20%、組合費が10%残りが利益とのこと。日本と一概には比較できないが、人件費率はかなり低く日本の半分。種苗費が意外と高く、もちろん暖房費はない。


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グリーンハウスからジャイナ教寺院を臨む(2013.03.22岩佐撮影)


グリーンハウスからはジャイナ教の寺院が見える。ジャイナ教の寺院にいる教組は下半身を露出しているらしく、僕らはこれをちんちん寺と呼んでいる。一度教組に会いに行ったことがあるがあいにく不在だった。



tsuru-chan teisyoku


11月下旬に行われた定植作業に村の皆さんをお招きし、駐在員のGRA鶴巻が身振り手振りを交えながら指導した。収穫の春を祈りながらの作業。鶴巻は2013年3月15日で任期を終え、帰国した。彼の仕事はエクセレント。圃場に入って一発でわかる。整然と整理されており、無駄なものは一切ない。鶴巻でなくては、この第一タームは乗り切れなかったと確信した。お疲れ様でした。


old generator
古いジェネレーター



このプロジェクトでGRAは施設の設計、建設、栽培など営農に関わる部分を担当している。それこそプロダクトの部分なので失敗したらすべての計画が台無しになる。インドの電力は不安定で、一日に何度も停電し、長時間の計画停電もある。電気の安定供給は生命線。2011年の東日本大震災でも、電力が来ないために沢山の作物が凍え飢えた。インドではそれに対応するためにジェネレーターが必要だった。最初にオーダーして届いたのが上の写真。冷戦前の代物じゃないかこれは。これでもないよりは随分ましで新しいジェネレーターがくるまでの繋ぎ以上の役割を果たしてくれた。


new generator
新しいジェネレーター


それにしても、本当に収穫できるのか・・・・。実がなるまで誰もわからん・・・・。理屈で攻めるしかない。


次号に続く





GRA、インドもイチゴ!?(1)

久しぶりのブログ。facebookを使い始めてからほとんど使ってなかったけれど、ブログのストック感は捨てがたい。

何回かに分けてGRAのインドでの取り組みを紹介する。最初にGRA Incの紹介。
GRAは宮城県山元町で先端施設園芸を展開している農業法人だ。2011年の東日本大震災以降に設立された農業法人。国内有数の規模。最近ではマスコミ等での露出も多い。
http://www.gra-inc.jp

最近取材に来られた、記者の方数名になぜ取材にこられたかを聞いてみると、

1.スピード感―設立から1年ちょっととは思えない。
2.先端性―ICT×農業という切り口が面白い。
3.投資額―農業の初期投資に5億も投資したのはなぜ。
4.岩佐のキャリア―なぜITから農業に。

最近では政府広報室から「MADE IN NEW JAPAN」として、フィナンシャルタイムズ、ウォールストリートジャーナル、ジャパンタイムズおよび政府のWEBサイトを通じて紹介いただいた。
http://mnj.gov-online.go.jp/

こんな素敵な動画も。



随分前置きが長くなったが、いよいよインドの話。何故GRAがインドに進出したか。理由は3つ。シンプル。
1.既にイチゴの顕在マーケットがあり、予想される潜在規模が超巨大。魅力的な市場。
2.インドのソーシャルイシュー(農村の貧困・男女雇用格差の問題)にダイレクト。
3.山元町および日本の園芸技術およびイチゴがグローバルで通用し、競争力のあるビジネスになりうることを出て行って示したい(これが一番)。


PUNE CITY '13 MAR 20
PUNE市のホテルから (2013.3.20 岩佐撮影)

2012年の11月にマハーラシュトラ州のプネ市近郊に約10aの密閉型温室を建設し、イチゴを定植した。2013年の3月に初収穫を迎えようとしている。プネ市はインド最大の商業都市ムンバイから車で3時間。美しい町。プネー自体が500万人の人口を抱え、ムンバイまでは170キロと近い。日本型イチゴのような軟弱果実は地産地消が基本。特にインドのように道路事情が悪く、コールドチェーンがとぎれとぎれの国は尚更。妥協して硬い果実のオールシーズンストロベリーなど創ったらおもろない。僕らはICHIGOで勝負だ。


インド実験圃場
建設中の圃場(2012.11.15 村上さん撮影)

10月~3月までが涼しく過ごしやすい。4月~6月は灼熱、7月~9月は常に曇天か雨。灼熱にどう耐えるかもそうだけど、細切れに気候が変わるので難易度が高い。未知の病害虫リスクはいわずもがな。


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建設中の圃場内部(2012.11.15 高山さん撮影)


グリーンハウスおよび栽培システムは岩佐が仕様を考え、ハウスは地元の業者に施工を委託した。栽培システムは僕も含めて日本人×インド人のICHIGOチーム全員で組み立てた。土地の造成は完全にローカルにお任せしたが、これは失敗。その場しのぎ感たっぷりの造成工事でのちに全面改良が必要になった。


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(夜の圃場 2012.11.15 岩佐撮影)


はっきり言って、このハウス、ある部分は山元町のハウス以上の重装備。気候条件が予想の範囲内に収まれば、理論上はインドの過酷な環境を耐え、収穫の春を迎えられる!はず。


次号に続く。

GRA、インドでイチゴ作りをはじめる(2)











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プロフィール

岩佐大輝

Author:岩佐大輝

1977年、宮城県山元町生まれ。株式会社GRA代表取締役CEO。日本、インドで6つの法人のトップを務める起業家。 詳細はこちら≫

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